2026/4/28
任意整理に失敗しやすい場合とは?~失敗例と対策~
任意整理

任意整理とは、弁護士が借入先と交渉し、将来利息を免除するとともに、月々の返済額を減らすものです。過払い金が発生している場合は、元本の減額も期待できます。
任意整理は、どんな場合でも利用できると思いがちですが、実は任意整理に失敗するケースがあります。
この記事では、任意整理に失敗する場合とその対策について、借金・債務整理に特化する埼玉県の弁護士がわかりやすく解説していきます。専門的な知識がない方でも、借金問題を回避し、生活を立て直す有効な手段を理解できる内容です。
任意整理についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
任意整理とは?埼玉県の弁護士がわかりやすく解説/セントラルサポート法律事務所/
任意整理の「失敗」とは?2種類のパターン
任意整理の「失敗」には、大きく分けて2つのパターンがあります。一つは交渉の段階でつまずく「和解不成立」、もう一つは和解後の返済が続かなくなる「滞納」です。それぞれの内容を確認しておきましょう。
和解不成立とは
和解不成立とは、債権者との交渉がまとまらず、利息カットや返済条件の変更について合意できない状態です。
自分で交渉を試みたものの合意が得られなかったケースや、任意整理を行うまでの返済期間が極端に短いケース(借りてから間もない場合)、そもそも任意整理に応じない借入先であるケースなどが挙げられます。すでに強制執行が可能な段階にある場合も、交渉を拒否されることがあります。任意整理を検討しているなら、早めに動くことが重要です。
滞納とは
滞納とは、債権者との和解が成立したにもかかわらず、その後の返済が続けられなくなる状態です。
主な原因としては、そもそも返済能力が不足していたケース、失業や収入減少による家計の悪化、医療費など予想外の出費、浪費癖が改善されなかったことなどが挙げられます。任意整理では元本の減額は原則できないため、無理のある返済計画を立てると途中で行き詰まるリスクがあります。
返済を開始する前に、現実的な収支の見直しが必須です。
任意整理に失敗しやすい場合とは?
①元金を3年から5年で完済ができない場合
②2回目の任意整理の場合
③借入をしてから一度も返済していない場合
④弁護士に依頼せず自分で交渉する場合
⑤低金利の借入の場合
⑥そもそも任意整理に応じてくれない借入先の場合
⑦弁護士費用が払えず辞任された場合
⑧高齢で収入が不安定な場合
①元金を3年から5年で完済できない場合
任意整理では、借金の元金を3年から5年で完済する必要があります。
無収入であったり収入が少なかったりする場合には、任意整理した後の返済ができず、任意整理に失敗してしまいます。
このように、任意整理を行うには、借金の元金を3年から5年で完済できるだけの収入が必要です。ただ、この収入とは、自分の収入だけでなく、家族などからの援助であっても大丈夫です。
②2回目の任意整理の場合
任意整理に回数制限はないため、2回目の任意整理だからといって任意整理が不可能ということはありません。
しかし、2回目の任意整理の場合、1回目の方と比較して厳しい結果になる場合もあります。
特に、任意整理による返済が全て完了する前に、返済ができなくなって再度任意整理する場合(再和解)では、そもそも和解すらできない場合もあります。
③借入をしてから一度も返済していない場合
借入をしてから一度も返済していない場合、任意整理を行うことは非常に難しいです。
また、借入をしてからの返済期間が1年未満の場合には、任意整理の際の和解条件がかなり厳しくなる傾向があります。具体的には、利息のカットが認められない、3年や5年などの長期分割が認められないことがあります。
そのため、任意整理で十分な和解条件を得るためにも、少なくとも1年程度は返済をしてから任意整理を行った方が良いです。
④弁護士に依頼せず自分で交渉した場合
任意整理は、自分で交渉を行うと失敗する可能性があります。弁護士でない以上、借入先からの信用がなく、そもそも交渉に応じてくれなかったり、弁護士が交渉を行った場合より条件が厳しくなることがあります。
任意整理で十分な結果を出すためには、弁護士に依頼する方が良いです。
⑤低金利の借入の場合
任意整理は、今後の利息(将来利息)を減額又は免除するとともに、月々の返済額を減額するものです。
そのため、元々利息が低く、長期の分割払いの借り入れの場合には、任意整理をする意味があまりありません。
任意整理に向かない低金利の借り入れの例としては、奨学金や教育ローンなどです。
⑥そもそも任意整理に応じてくれない借入先の場合
借入先の中には、会社の方針として任意整理に一切応じない会社が存在します。
そのような借入先の場合、いくら交渉をしても和解ができず、任意整理をすることができません。
ただ、弁護士に相談すれば任意整理ができない借入先かどうかがわかりますので、そのような借入先は任意整理の対象から外すなど、事前に対策をすることができます。
⑦弁護士費用が払えず辞任された場合
弁護士費用の滞納が原因で、任意整理が失敗するケースを見ていきましょう。
任意整理を弁護士に依頼する際の弁護士費用は、分割払いが可能な事務所が多くあります。しかし、その費用の支払いが滞ると、弁護士から辞任される可能性があります。弁護士に辞任されると債権者への交渉が中断し、手続きが頓挫してしまうリスクがあるのです。
また、弁護士に辞任された場合、支払い済みの着手金は返金されないケースが多いです。新たに別の弁護士に依頼する場合は、改めて費用が発生します。その間も遅延損害金が加算され続けるため、借金総額が膨らむ恐れもあります。
弁護士費用を滞納しないためには、依頼前に毎月の支払い可能額を把握した上で、無理のない費用を提示してくれる事務所を選ぶことが重要です。事前に費用の総額と支払いスケジュールを確認しておきましょう。
⑧高齢で収入が不安定な場合
高齢であることを理由に、任意整理が失敗しやすくなるケースがあります。
任意整理に年齢制限はありません。しかし、年金のみを収入源としている場合や、健康上の理由でいつ働けなくなるか分からない状況では、債権者に与える不安が大きいです。
債権者から「3〜5年間、安定して返済を続けられる」と判断してもらえないことがあります。返済能力への不信感から、交渉に応じてもらえない可能性があります。
対策としては、子どもや家族からの援助を返済原資として提示する方法があります。また退職金を活用して、一括か短期間での返済計画を示す方法などが考えられます。債権者の信頼を得るためには、返済の見通しを具体的な数字で示すことが重要です。
高齢で収入が不安定な方は、任意整理が適切かどうかも含めて弁護士に相談することをおすすめします。
任意整理に失敗したらどうする?対処法を解説
任意整理に失敗しても、借金問題の解決手段がなくなるわけではありません。主な対処法は以下の3つです。
- ①すぐに弁護士へ相談する
- ②個人再生へ移行する
- ③自己破産へ移行する
①すぐに弁護士へ相談する
任意整理が失敗した場合、まず弁護士へ相談することが最優先です。滞ったまま放置すると、債権者からの督促が続くだけでなく、遅延損害金が加算されて借金総額がさらに膨らんでしまいます。状況は時間がたつほど悪化するため、早急な対応が必要です。
弁護士に依頼すると、受任通知を債権者へ送付することで督促を一時的に止められます。また、今後の対応方針を整理した上で、個人再生や自己破産といった次の手続きへ移行することも可能です。
任意整理の失敗を一人で抱え込まず、まずは弁護士への相談を検討してください。
②個人再生へ移行する
任意整理に失敗した場合の有力な選択肢の1つが、個人再生への移行です。
個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額してもらい、原則3年間で返済する手続きです。任意整理では通常は認められない元本の減額が可能な点が大きな特徴といえます。借金総額を5分の1程度まで圧縮できるケースもあり、任意整理では返済が難しい状況でも解決できる可能性があるでしょう。
また、個人再生には「住宅ローン特則」という制度があります。住宅ローン特則の条件を満たせば、住宅ローンの返済を続けながら自宅を手放さずに他の借金を整理することが可能な場合もあります。マイホームを守りたい方にとって、特に有効な手続きといえます。
③自己破産へ移行する
任意整理に失敗した場合、自己破産への移行も有力な解決手段の1つとして挙げられます。
自己破産とは、裁判所を通じて借金の返済義務を原則全て免除してもらう手続きです。任意整理とは異なり、元本も含めた借金全額がゼロになります。したがって、収入が少なく返済の見込みが立たない方にとって、生活を根本から立て直せる手段といえます。
ただし、自己破産にはデメリットもあります。自宅や自動車など、一定額以上の財産は原則として処分の対象となります。また、浪費を理由とした借入、財産隠し、一部の債権者への返済などは免責不許可事由に該当し、場合によっては免責が認められないという可能性があります。加えて、手続き中は警備員や保険外交員などの一部の職業に就けない制限が生じます。
自宅を手放したくない場合や、安定した収入があり返済を続けられる見込みがある場合は、個人再生の方が適しているケースもあります。どちらの手続きが自分に合っているかは、状況によって異なるため、弁護士に相談した上で判断することが重要です。
和解後に返済できなくなった場合のリスク
もし任意整理で和解が成立しても、その後の返済が滞ると深刻な事態を招くことがあります。失敗やトラブルを避けるための注意点として、主な3つのリスクを事前に把握しておきましょう。
✅債権者からの取り立てが始まる
✅訴訟・強制執行(差し押さえ)に発展する
✅信用情報(ブラックリスト)の回復が遅れる
債権者からの取り立てが始まる
和解後に返済が滞ると、債権者からの取り立てが再開されます。
任意整理の手続き中は、弁護士が受任通知を送付することで督促が一時停止される仕組みです。ただし返済が滞って和解が白紙に戻った途端、その保護は失われます。電話や郵便による督促が頻繁に届くようになり、職場への連絡が来るケースもあるため、日常生活や仕事に支障をきたしかねません。
訴訟・強制執行(差し押さえ)に発展する
返済の滞納が続くと、債権者が裁判所へ訴訟を提起するケースがあります。
訴訟が起こされると裁判所への出頭が必要となり、時間的・金銭的な負担が生じます。そして、判決が確定すると債権者は強制執行を申し立てられる状態になります。
強制執行が行われると、預貯金・給与・不動産などの財産が差し押さえられ、日常生活に深刻な影響を及ぼしかねません。事態が深刻化する前に、早急に弁護士へ相談してみてください。
信用情報(ブラックリスト)の回復が遅れる
任意整理に失敗すると、信用情報の回復が遅れるリスクがあります。
任意整理の場合、和解に基づく返済が完了(完済)し、そこから5年程度経過することで、初めて信用情報は回復します。
任意整理の失敗によって借金問題の解決(完済)が長引くほど、信用情報が回復される時期も後ろ倒しになります。
任意整理を成功させるための対策
元金を3年から5年で完済できるように収入と支出を改善する
これが最も大切なポイントです。
任意整理は、原則として借金の元金を3年から5年で返済するものですので、返済できるだけ収入が必要です。
そのため、弁護士に依頼したらそれで終わりというわけではなく、自分で収入を増やしたり、支出を見直して節約をするなど、任意整理を成功させるため収支状況を改善する必要があります。
1年以上は返済してから任意整理する
任意整理を行うまでの返済期間が長ければ長いほど、より良い和解条件を得ることができます。
そのため、なんとか1年以上は返済を行い、その後で弁護士に依頼する方が良いです。
もっとも、どうしても1年以上返済できない場合には、次のような対策があります。
👉「返済期間が短い借入先については任意整理しない」
なお、一度も返済していない場合には任意整理を行うことは非常に難しいですので、ある程度は返済を行う必要があります。
費用倒れに注意する
任意整理を成功させるためには、費用倒れのリスクを事前に確認することが重要です。費用倒れとは、弁護士費用が任意整理によって減額できた利息の総額を上回ってしまう状態を指します。借入総額が少ない場合や金利が低い借入の場合、減額できる利息額が小さいため、費用倒れが起きやすい傾向があります。
任意整理における弁護士費用の相場は、借入先1社当たり5万円〜8万円程度です。借入先の件数が多いほど費用総額も増えるため、依頼前に費用を確認しましょう。任意整理で減額できるであろう利息額と費用を比較した上で、本当に任意整理が有効かどうかを判断しましょう。
信頼できる弁護士であれば、費用倒れになるかどうかを説明してくれるはずです。
弁護士の選び方が成否を左右する
任意整理を成功させるには、弁護士選びは重要なポイントといえます。任意整理は債権者との交渉によって結果が大きく変わるからです。債務整理の実績が豊富な弁護士は、各債権者の傾向や交渉のポイントを熟知しており、より有利な条件を引き出せる可能性が高くなります。
弁護士を選ぶ際は、債務整理の取り扱いや解決事例などをホームページで確認してから、相談することをおすすめします。費用の内訳や支払い方法を相談した時点で、最適な解決策を提案してくれる事務所かどうかも判断基準の1つです。
任意整理の失敗に関するよくある質問
以下では任意整理の失敗に関するよくある質問に答えていきます。
✅任意整理の成功率は?
✅任意整理が手遅れになるケースはある?
✅任意整理中にバックレるとどうなる?
1つずつ順番に見ていきましょう。
任意整理の成功率は?
任意整理の成功率について、統計データなどは公表されていません。ただし、経験豊富な弁護士に依頼した場合、大手の消費者金融やクレジットカード会社との和解はほとんどのケースで成立するといわれています。
一方、任意整理に応じない方針の業者や返済期間が短いケースでは、交渉が難航することもあります。成功率を高めるためには、債務整理の経験が豊富な弁護士に相談することが大切です。
任意整理が手遅れになるケースはある?
すでに訴訟や支払督促が申し立てられている場合、債権者が任意整理に応じない場合もあります。判決が確定すれば、債権者は給与など財産の差押えによって強制的に借金を回収できるためです。
もっとも、訴訟の中で和解ができる場合もあります。借金問題は早期に動くほど選択肢が広がるため、少しでも不安を感じたら速やかに弁護士へ相談しましょう。
任意整理中にバックレるとどうなる?
任意整理の手続き中や返済中に連絡を絶つバックレは、状況を大幅に悪化させる行為です。
弁護士からの連絡を無視した場合、弁護士から辞任されてしまいます。辞任後は債権者からの取り立てが再開されます。
和解後に返済をバックレた場合は、2カ月分(債権者によっては1か月分)の滞納で一括請求の対象です。さらに遅延損害金も日々加算され続けます。最終的には訴訟・強制執行へと発展するリスクもあるので、連絡を絶たずに返済計画を守りましょう。
まとめ│任意整理を成功させるには弁護士に相談を
いかがでしたでしょうか。
今回は任意整理に失敗しやすい場合とその対策について解説していきました。
借金返済でお困りの方は、一人で悩まずお金の悩みを専門家に相談してみてください。経験豊富な弁護士に依頼することで、安心して借金問題の解決へと踏み出すことができます。再び安定した生活を目指すことが可能です。
セントラルサポート法律事務所
弁護士 安井孟(埼玉弁護士会所属)
任意整理をはじめとした債務整理業務に特化した法律事務所を運営しております。

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