2025/3/19
後払い決済のメルペイやペイディの支払いは任意整理できる?支払えなくなったときの対処法を解説します
任意整理
後払い決済の支払いが厳しくなったら任意整理はできるのでしょうか。メルペイやペイディなどの後払い決済は任意整理の対象となるのか、任意整理のメリット・デメリット、ブラックリストへの影響、支払いが難しくなった場合の対処方法を詳しく解説していきます。
近年、オンラインショッピングの普及とともに、「後払い決済」のサービスが普及しています。後払い決済は、カードレスで手軽に利用できる便利な支払い方法ですが、ローンと同じ借金であるため、万が一、支払いができなくなった場合の対応を知っておくことは重要です。
支払いが出来なくなった場合の選択肢のひとつである「任意整理」は、後払い決済の未払金も対象になります。そのため、早めに対処すれば返済の負担を軽減できます。この記事では、メルペイやペイディなどの後払い決済が任意整理の対象となるのか、任意整理以外の債務整理の方法、ブラックリストへの影響について詳しく解説していきます。支払いが厳しくなった場合に取るべき対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
後払い決済とはどんなサービス?
後払い決済は、購入者が商品を受け取った後に代金を支払う仕組みのことを指します。クレジットカードを持っていない人や、一時的に資金が不足している人にとって便利な支払い方法です。特にオンラインショッピングで広く採用されており、簡単に利用できることから近年急速に普及しています。
クレジットカードなしで後払いができるサービス
後払い決済は、商品を受け取った後に購入者が代金の支払いをするというものです。中には金利が低く設定されているサービスもあるためとても便利です。利用者は、商品を受け取った後、コンビニや口座振替などで代金を支払います。
代表的な後払い決済サービスとしては以下のものがあげられます。
・Paidy(ペイディ)
・メルペイあと払い(メルペイスマート払い)
・PayPayあと払い
・ツケ払い(ZOZOTOWN)
・NP後払い
・atone(アトネ)
このような後払い決済はスマホのみで申し込みができる便利なサービスです。
オンラインストアの支払い方法の選択肢のひとつとして確立しつつあるサービスです。
後払い決済でも審査はある
気軽に利用できる後払い決済ですが、後払い決済は「信用取引」に分類されるため利用時には審査が行われます。クレジットカードやローンの審査と同じように、信用情報機関に登録されている情報がチェックされます。
そのため、過去に延滞がある場合やブラックリストに載っている場合は、審査を通過できない可能性があります。
後払い決済の支払いは任意整理の対象
後払い決済の支払いが難しくなった場合には、任意整理という方法があります。後払い決済の料金も任意整理の対象になります。
債務整理にはいくつかの方法がありますが、任意整理では弁護士や司法書士が交渉を行って返済計画を見直し、無理のない支払い方法へ調整することが可能です。特に、将来の金利(利息)を減額免除できる点は大きなメリットとなります。
そもそも任意整理とは
任意整理とは複数ある債務整理の方法のひとつです。
多くの場合、弁護士や司法書士がお金を借りた人に代わって債権者(銀行やクレジットカード会社)と交渉し、将来の金利(利息)を減らしたり、支払いスケジュールを見直したりすることで借金を整理するものです。
自分で債権者と交渉してはいけないというわけではありませんが、ほとんどの場合では弁護士や司法書士といった代理人が交渉を行います。
任意整理は、裁判所の手続きを経るものではなくあくまでも交渉して行うものですので、裁判所に出向く必要はありません。
後払い決済の未払金についても、任意整理の対象に含めることができます。ただし、債権者側が交渉に応じるかどうかは相手次第であるためケースバイケースです。
任意整理以外にも方法がある
後払い決済の支払いが苦しくなったときには、任意整理以外にも借金の整理方法はいくつかあります。
借金の額や収入状況に応じて、個人再生や自己破産を検討することで無理のない返済計画を立てることができます。
・個人再生
個人再生は、裁判所の手続きを通じて借金を減額する手続きです。特に、住宅ローンを抱えている人にとっては有効な手段であり、住宅を残しながら他の借金を圧縮することができる場合もあります。状況によっては借金の額を5分の1程度にまで圧縮できる場合があり、残った債務を原則3年の分割払いで返済することになります。
後払い決済の未払い代金も個人再生で圧縮できる借金に含まれています。ただし、個人再生を利用する場合には、安定した収入が必要です。
・自己破産
自己破産とは、裁判所の手続きで借金をゼロにする(免責する)手続きです。後払い決済の未払金も自己破産で免責される借金に含まれています。
免責とは裁判所の判断で「借金の支払いを免除する」というものです。免責を受けることで借金の返済義務がなくなり、ゼロからのスタートを切ることができます。
自己破産は、借金の返済が極めて困難な場合に最終手段として選ばれることが多い手続きです。後払い決済を含むすべての借金をゼロにできる一方、自宅などの財産を手放すというデメリットもあります。
また、ひとつ注意したいのが「免責不許可事由」です。
免責不許可事由とは、破産法第252条1項で定められているルールでギャンブルやFX、浪費を理由とする借金に関しては「免責不許可」とされているのです。
後払い決済を利用した理由が「浪費」であると判断された場合は、免責不許可事由に該当して自己破産の免責が受けられなくなってしまう可能性があります。もっとも、仮に免責不許可事由に該当すると判断されても、裁判所の判断で免責の判断を下す「裁量免責」という方法があります。ただし、裁量免責を受けるためには手続きが複雑な管財事件となります。
債務整理で整理できない未払金
後払い決済の未払金は、任意整理・個人再生・自己破産のすべての債務整理において、対象になります。
ただし、債務整理の対象にならない未払金もあります。
・税金
・養育費
・婚姻費用
などは、どのような方法で債務整理をしても支払義務が残ります。
後払い決済の支払いができなくなったときの対応
後払い決済を利用した後、支払いが滞っている状態でそのまま放置をすると延滞金が発生します。また、後払い決済の滞納は信用情報にも記載されます。滞納が続くとブラックリストの状態になってしまう可能性もあります。
状況が悪化する前に早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談し、債務整理の手続きを検討することが重要です。
弁護士に相談する
弁護士は法律のスペシャリストであり、本人の代わりに交渉や手続きを行うことができます。後払い決済を滞納してしまったときには、弁護士に相談すれば適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士に相談することで、後払い決済の未払金を含めた借金問題の解決に向けた具体的な道筋が見えます。任意整理・個人再生・自己破産の中から最も最適な手続きを提案していただけます。
弁護士や後述の司法書士などの専門家に依頼をした場合、費用はかかりますが未払金の督促が止まるという大きなメリットがあります。これは、もちろん後払い決済であっても同様です。
支払いが難しくなった場合には、まずは弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
司法書士に相談する
司法書士は、一件あたりの借金の額が140万円以下であれば債務整理の相談ができます。弁護士であれば、金額に関係なく債務整理ができますが、司法書士の場合は金額が限定されています。
140万円は借金の総額ではなく、1件あたりの借金の額です。また、過払い金などが発生している場合は、過払い金が140万円を超えても司法書士は対応できないため注意してください。
無料相談を利用できる
「後払い決済の代金が支払えないのに、弁護士や司法書士に相談する費用なんてない」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
弁護士や司法書士の事務所では、初回の相談は無料としている事務所もあります。また、事務所によっては債務整理の場合は何度でも無料で相談できるところもあるため、専門家のアドバイスを聞くために利用できます。
また、依頼費用に関しては分割払いが可能な事務所が多くあります。
任意整理などで借金を整理するメリット
後払い決済の代金が支払えなくなったときに任意整理を行うメリットについて解説します。
任意整理にはメリットがある
任意整理を行うメリットは以下の点です。
・利息の減額免除による返済総額の減額
・毎月の返済額の減額
・裁判や強制執行の回避
・裁判所を通さない手続き
任意整理は借金の元本は減らせませんが、将来の利息の減額を交渉できます。任意整理を行わない場合と比べて利息が減る結果、完済までの返済総額が減ります。
また、弁護士や司法書士が債権者と交渉して毎月の返済額を減額することが可能です。現在の収入や生活費を考慮して、無理なく支払える金額に調整されるため毎月の負担が減ります。
任意整理を行うことにより、裁判や強制執行を回避することができます。滞納状態が続くと差し押さえなどの法的手続きが進められることもありますが、債権者と交渉して任意整理を行うことでこうした事態を回避することができます。
最後に、任意整理は裁判所を通さずに交渉で手続きを進めるというものです。そのため、個人再生や自己破産と比べて手続きがスムーズであり、生活上の様々な制限や必要書類の提出、裁判所への出頭などもありません。そのため、後払い決済の支払いの整理を考えている人にとって任意整理は負担の少ない方法の一つといえるでしょう。
後払い決済で任意整理したらブラックリストに載る?
債務整理を行うと信用情報機関に事故情報として記載されるため、いわゆる「ブラックリスト」に載ることになります。
債務整理をするとブラックリストの状態になる
任意整理・個人再生・自己破産のいずれを選択しても、信用情報機関に「事故情報」として登録され、ブラックリストの状態になります。この状態では、クレジットカードの利用や各種ローン(消費者金融、自動車ローン、教育ローン、住宅ローン等)ができなくなります。
また、新たに後払い決済を利用しようしてもその審査も通らないため利用できなくなります。
ただし、ブラックリストの状態は一生続くものではなく、完済から5年程度経過するとまた利用できるようになります。
スマホの機種の分割購入も利用できない
任意整理や個人再生、自己破産をしたあと一定期間は、ブラックリストの状態になるためスマホの機種の分割購入が利用できません。
通信キャリアで提供されている、一定期間利用した機種を返却したら安く利用できるというサービスも同様です。
スマホの機種の分割購入はローンであるため、任意整理による返済が終了(完済)してから5年程度経過するまではスマホの機種は一括購入をするほかありません。
賃貸契約にも影響する
賃貸契約では、多くの物件で家賃保証会社が付いていますが、一部の家賃保証会社(クレジットカード会社等)では信用情報をチェックして審査が行われるケースがあります。
任意整理などでブラックリストになっているときには、一部の家賃保証会社(クレジットカード会社等)が家賃保証を行うマンションやアパートの賃貸契約ができなくなる可能性があります。
まとめ
後払い決済の未払金は任意整理の対象にできます。
ペイディやメルペイなどの後払い決済は便利な支払い方法ですし、計画的に利用すれば生活の質をあげることができます。もっとも、ローン契約と同じですので、支払いができなくなると延滞金が発生し信用情報に影響を与えます。
もし支払いが困難になってしまった場合には、任意整理などの合法的な方法を利用することで無理のない支払いプランを立てることが可能です。
任意整理を検討している場合には、早めに弁護士や司法書士に相談し、最適な方法で解決を図ることで生活を立て直しましょう。
この記事を書いた人
セントラルサポート法律事務所
弁護士 安井孟(埼玉弁護士会所属)
任意整理をはじめとした債務整理業務に特化した法律事務所を運営しております。
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