2025/1/23
アコムは任意整理に応じない? 借金の債務整理や対応、相談の事例を解説
【借入先別】任意整理情報
アコムの借金を任意整理するためには、アコムに和解交渉に応じてもらう必要がありますが厳しく対応されることもあります。任意整理が可能なケースや将来利息のカットが可能なケース、その他の債務整理の方法や注意点についても解説します。
アコムは任意整理に応じない? 厳しいと言われるアコムとの任意整理の秘訣を解説
「はじめてのアコム」でおなじみのアコム
消費者金融といえばアコム、というほどに知名度の高いアコムでは多くの方が借入を行っています。
気軽に借りられるイメージがあるため、債務整理をされる方においてはかなりの確率でアコムからの借入があります。
今回は、アコムを任意整理する場合の最近の状況や注意点について、埼玉県で借金・債務整理に特化した弁護士が解説していきます。
アコムに関する基礎情報
商品名 | アコム |
---|---|
会社名 | アコム株式会社 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内2丁目1番1号 |
主な関連会社 | 株式会社三菱UFJ銀行 三菱UFJ信託銀行株式会社 エム・ユー信用保証 アイ・アール債権回収 |
アコムの借金は債務整理(任意整理)できるのか?
アコムは債務整理に応じてくれるのだろうか?
任意整理をした後でもアコムとの再契約は可能なのだろうか?
このような疑問をお持ちの方が多いと思いますが、結論から言うと、アコムの借金も基本的に債務整理ができますし、任意整理にも応じてもらえます。
ただ、取引期間が短い場合には、分割回数が短くなるなど和解の条件は厳しめです。
また、アコムの借金を任意整理した場合、ブラックリスト入りしてしまいます。さらに、任意整理による返済を完済してから5年ほど経過してブラックリストから外れたとしても、新たにアコムから借入を行うことは難しいケースもあります。
アコムの借金を債務整理する3つの方法
アコムの借金を債務整理するには、主に3つの方法があります。
- ・自己破産
- ・個人再生
- ・任意整理
それぞれの手続きの特徴を確認しましょう。
自己破産
自己破産とは、裁判所へ破産申立てを行い破産手続きを行うことです。裁判所に破産申立てを行うと、裁判所が破産者(自己破産の申立てをした人)の財産を管理する破産管財人を選任します。破産管財人は、破産者の財産を換金して債権者への配当に充てます。
アコムなどの債権者は、破産手続きの中で破産管財人が換金したお金から配当を受け取ります。配当によっても不足する借金は、原則として免責されます。
その結果、破産手続きの終了とともに、破産者(自己破産の申立てをした人)は、税金や養育費などの非免責債権を除き、原則としてすべての借金から解放されます。
免責が認められれば、アコムから返済を求められることもありません。
ただし、住宅や自動車などを含め大半の財産を失ってしまうことがデメリットとなりますので、気軽に利用できる制度とも言い切れません。
個人再生
個人再生とは、裁判所を介して全債権者の債権を減額してもらう手続きです。裁判所に個人再生の申立てを行うと、アコムを含む全ての債権の調査を行います。
その上で、アコムを含む全ての負債について返済すべき額を圧縮します。負債額や財産額にもよりますが、500万円以上の負債であれば、負債総額の5分の1から10分の1程度まで圧縮されるため、負債総額が3000万円であれば300万円に圧縮されるのが目安です。
その後、再生計画案を作成し、債権者の意見聴取を行い裁判所が認可すれば、個人再生は認められ再生計画に沿った返済を行っていくことになります。
任意整理
任意整理は裁判所が関与しない債務整理方法です。弁護士や司法書士が依頼者の依頼を受けてアコムを含む債権者と個別に交渉し、将来利息のカットや月々の返済額の減額を図ります。
任意整理により目指せることは債権者や消費者金融ごとに異なりますが、将来利息のカットや月々の返済額の減額について交渉することが可能です。
アコムとの任意整理の交渉で目指せること
アコムからの借り入れについて弁護士や司法書士が任意整理の交渉を行う場合、次の点について交渉することができます。
- ・将来利息を減額または免除してもらうこと。
- ・遅延損害金を減額または免除してもらうこと。
- ・月々の返済額を減額してもらうこと。
- ・過払い金の返還を求めること。
一つ一つ確認していきましょう。
将来利息を減額または免除してもらうこと。
将来利息とは、現在の元本と利息でこのまま返済を続けていた場合に将来支払わなければならない利息のことです。
アコムとの任意整理の交渉では、将来利息の減額または免除を求めることができます。
アコム側も原則として将来利息のカットに応じてくれる傾向です。
遅延損害金を減額または免除してもらうこと。
遅延損害金とは、返済が遅れているために発生している利息のことです。
滞納期間が長いほど遅延損害金が高額に膨らんでしまうことになります。
現在、アコムでは遅延損害金の減額や免除には応じてもらえません。
そのため、遅延損害金が膨らむ前に早めに任意整理を検討することが大切です。
月々の返済額を減額してもらうこと。
分割回数を伸ばし、月々の返済額を減らすことです。
分割返済とも言いますが、アコムの場合も任意整理により、36回分割(3年間)から最大60回分割(5年間)という形での分割返済に応じてもらえる傾向があります。
過払い金の返還を求めること。
過払い金とは、利息制限法の上限金利を超えて利息を支払っていた場合に、払いすぎた利息について消費者金融側に返還を求めることができるものです。
アコムからの借り入れの場合は、2007年(平成19年)6月17日以前から継続して取引を行っていた場合に過払い金が発生している可能性があります。
もっとも、過払い金の返還請求権には時効があり、最後の返済から10年を経過してしまうと時効により権利が消滅してしまうので注意が必要です。
アコムにおける最近の任意整理の状況
アコムは任意整理に対してやや厳しい会社です。
アコムに対する返済期間が短い場合には、長期の分割が難しくなります。
もっとも、例えば介護費用や医療費、養育費等の支払いにより返済が難しいなどやむを得ない事情がある場合には、分割回数を伸ばしてもらえるなど柔軟な対応がなされます。
以下でポイントを詳しく解説していきます。
アコムの任意整理における分割回数
最大で60回分割が可能です。
返済期間が短い場合(3年未満)、最大でも36回分割程度となります。
アコムの任意整理における将来利息
将来利息とは、将来支払うべき利息で、多くの会社では年に18%程度の将来利息がかかります。
アコムの場合は任意整理により、原則として将来利息を免除してもらえます。
アコムの任意整理における和解成立日までの経過利息
「和解成立日までの経過利息」とは、和解が成立するまでの利息(遅延損害金)をいいます。
多くの会社では、年に20%程度の利息(遅延損害金)がかかり、任意整理の際も免除してくれません。
アコムの任意整理でも、免除には応じてもらえません。
アコムにおける任意整理の主な解決事例
アコムにおける任意整理の主な解決事例を紹介します。
アコムにおける任意整理の解決事例①
任意整理前の状況
- 1. 60代男性
- 2. 会社員
- 3. 予定返済総額:約160万円(元金約110万円、利息約50万円)
- 4. 返済期間:約8年
- 5. 任意整理前の月々の返済額:約3万円
※返済期間とは借り入れの返済期間をいいます。
例えば、2021年4月に100万円を借り入れ、その後、2021年5月~2022年4月まで返済を行った場合には、返済期間は1年間(12か月)となります。
※予定返済総額とは任意整理をしない場合、本来であれば返済しなければならない金額(借入元金に将来利息を加えた合計金額)です。
任意整理の結果
- 1. 返済総額 約110万円
- 2. 分割回数 60回の分割払い
- 3. 将来利息 全額免除
- 4. 月々の返済額 約1万8000円
任意整理によって減額できた金額
- 1. 将来利息 約50万円の減額
- 2. 月々の返済額 約1万2000円の減額
アコムにおける任意整理の解決事例②
任意整理前の状況
- 1. 40代女性
- 2. 会社員
- 3. 予定返済総額:約75万円(元金約55万円、利息約20万円)
- 4. 返済期間:約7年
- 5. 任意整理前の月々の返済額:約1万8000円
任意整理の結果
- 1. 返済総額 約55万円
- 2. 分割回数 55回の分割払い
- 3. 将来利息 全額免除
- 4. 月々の返済額 約1万円
任意整理によって減額できた金額
- 1. 将来利息 約20万円の減額
- 2. 月々の返済額 約8000円の減額
アコムにおける任意整理の解決事例③
任意整理前の状況
- 1. 40代男性
- 2. 会社員
- 3. 予定返済総額:約255万円(元金約175万円、利息約80万円)
- 4. 返済期間:約10年
- 5. 任意整理前の月々の返済額:約5万円
任意整理の結果
- 1. 返済総額 約175万円
- 2. 分割回数 48回の分割払い
- 3. 将来利息 全額免除
- 4. 月々の返済額 約3万7000円
任意整理によって減額できた金額
- 1. 将来利息 約80万円の減額
- 2. 月々の返済額 約1万3000円の減額
アコムが任意整理(債務整理)に応じないケースとは?
アコムは任意整理に対してはやや厳しい会社のため、任意整理に応じてくれないケースも稀にあります。
代表的なケースを確認しましょう。
借りてから一度も返済していない場合
借りてから一度も返済を行っていない場合、アコムから元々返済する意思がなかったと判断され、任意整理に応じてもらえません。
そのため、任意整理を行う場合にはある程度の返済期間(返済回数)が必要となります。
5年以内に返済できない場合
任意整理の返済期間(返済回数)は交渉することができますが、返済期間があまりに長くなる場合、アコムは任意整理に応じてもらえない可能性があります。
アコムの任意整理では最長でも5年以内(60回払い)での完済が限度で、これ以上返済期間が長くなる場合は基本的に任意整理に応じてもらえません。
アコムの借金を任意整理するメリット
アコムの借金を任意整理することにより、将来利息や月々の返済額を減額できることの他に、様々なメリットがあります。
アコムからの催促や取り立てが止む
弁護士や司法書士がアコムの借金について任意整理の依頼を受任した場合、速やかにアコムに対して受任通知を送付します。
アコムが受任通知を受け取った後は、債務者への催促や取り立てがストップします。
催促や取り立てに悩まされる日々から解放されるため、精神的にもかなり楽になるはずです。
債務整理にかかる期間が短くて済む
アコムでの任意整理にかかる期間は、自己破産や個人再生に比べるとかなり短いです。
自己破産や個人再生は裁判所での手続きのため、解決までに1年以上の時間がかかることも珍しくありません。
一方、アコムとの任意整理の交渉は、3か月から6カ月程度で目途がつくことがほとんどです。
用意すべき種類は少なくて済む
アコムでの任意整理のために用意すべき書類は、自己破産や個人再生に比べると非常に少ないです。
任意整理のために必要になる主な書類は次のとおりです。
- ・本人確認書類
- ・印鑑
- ・アコムのカード
家族や会社に知られずに借金の整理ができる
弁護士や司法書士が受任した場合、アコムとの交渉や手続きは弁護士や司法書士が内密に行うため、基本的には家族や会社に知られずに任意整理を進めることができます。また、官報に掲載されてしまうこともありません。
任意整理であれば、自己破産と異なり一定の資格が必要な仕事ができなくなるといった制約もないため、資格が必要な仕事をしている場合であっても会社へ報告する必要はありません。
アコムの借金を任意整理する場合の注意点(デメリット)
アコムの借金を任意整理した場合、いわゆるブラックリストに載せられてしまうため、アコムを含め全ての借入・ローン・クレジットカード利用ができなくなるといった一定の影響が出ることは避けられません。
完済から5年程度経過するまでは各種借入やクレジットカード利用等ができなくなる
アコムの借金を任意整理した場合、任意整理による返済が終了してから5年程度経過するまでは、アコムを含め各種借入やローン、クレジットカード利用、スマートフォン等の機種代の分割購入等ができなくなります。
これは、ブラックリストに載る(個人信用情報機関に事故情報が登録される)ためです。
日常の生活費等をクレジットカードで決済されている方の場合、クレジットカードが利用できない代わりにデビットカードで代用するということが可能です。
返済期間が短い場合には分割回数が短くなる
アコムの任意整理では、返済期間が短い場合には分割回数が36回以内など条件が悪くなります。
※極端に返済期間が短い場合(半年未満等)の場合には分割回数が24回以内などになることもあります。
そのため、アコムを任意整理する場合には、返済期間の長さ(返済実績)が重要となります。
借金の元本や遅延損害金はカットできない
アコムの任意整理では、将来利息をカットすることはできますが、借金の元本や遅延損害金のカットは難しいのが現状です。
借金の元本及び遅延損害金を任意整理でも返済できないほど多額に膨らんでいる場合は、個人再生などの別の手段を検討しなければなりません。
アコムや関連会社からの借り入れが難しくなる
アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループの会社です。
個人信用情報機関の事故情報は5年程度経過すると抹消されますが、これとは別にアコムが独自のブラックリストを用意しており、グループ会社で共有している可能性があります。
そのため、信用情報が回復した後でも、アコムやACマスターカードの他、三菱UFJ銀行、三菱UFJニコス、auじぶん銀行、ジャックスなどのカードローンやクレジットカードの利用が事実上難しくなる可能性があります。
まとめ|アコムの借金で困ったら埼玉県のセントラルサポート法律事務所へご相談ください
アコムからの借金は、任意整理によって解決できる可能性があります。
借金が膨らみ、二進も三進もいかなくなってから、債務整理を試みても、自己破産しか選択肢がなくなってしまうこともあります。
アコムは任意整理に応じてはいるものの、やや厳しめの対応を取っており、任意整理に応じないケースも少なくないですが、弁護士が粘り強く交渉することにより、解決の糸口を見つけられることもあります。
セントラルサポート法律事務所は、消費者金融などの借金問題や債務整理に強い弁護士事務所です。
アコムとの任意整理の交渉も粘り強く行いますので、お困りの方は、早めにご相談ください。