2025/12/10
教員が自己破産をしたらどうなる?バレるリスクや仕事への影響を解説します
自己破産
教員として勤務しながら「消費者金融や銀行からの借入れが増えてしまい、返済が苦しい」「ボーナスで何とかしようと計画してきたが、支払いが追いつかない」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。ですが、教員という立場上「自己破産などの債務整理をしたら、教員としてはたらけなくなる?「職場や保護者に知られたら・・・」「せっかく作ってきた信頼関係を失うのでは」と不安があって誰にも相談できないケースもあります。
この記事では、教員が自己破産をした場合の資格や仕事への影響。そして、職場や保護者にバレる可能性があるのか。そして、自己破産を含む債務整理の選択肢について解説します。教員特有の悩みを網羅しつつ解説します。


教員の借金問題と債務整理の選択肢
教員であっても、カードローンや消費者金融からの借入、住宅ローン、奨学金などの支払いに行き詰まって返済ができなくなることはあります。 精神的な限界が来る前にと感じる前に、債務整理を検討することが大切です。債務整理とは、債務(借金)の額や支払方法を法的な手続きや交渉によって見直し、生活を立て直すための法的な制度のことです。 任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理は合法的に債務を整理する方法であり、教員でももちろん利用できます。借金が返済できなくなったときに選べる債務整理の種類
主な債務整理の方法としては、任意整理・個人再生・自己破産があります。いずれも法律に基づく制度であり合法的な手続きと話し合いで生活を再生させるための仕組みです。 どの手続が適しているかは、個別の事情によって異なります。借金の総額や、債権者の数、収入・支出のバランス、住宅ローンや家族の状況など、個々の事情を総合的に判断します。任意整理・個人再生・自己破産の違い
任意整理とは、裁判所を通さずに、債権者と直接交渉を行って将来の利息をカットして返済するという方法です。銀行やクレジットカード会社などの債権者と話し合いをして原則として3年から5年程度で完済できるよう返済計画を立て直します。 裁判所を通さない手続きですが、弁護士からの受任通知をもってすべての督促や請求の電話が止まる点も大きなメリットです。 個人再生は、裁判所を通じた債務整理の方法です。借金は0にはなりませんが元金を圧縮できます。一定の条件を満たせば住宅ローン特則を利用できるため、自宅を残したい場合にメリットがあります。教員は安定した給与収入がある人が多いため、個人再生を利用しやすくなります。 自己破産は、裁判所に手続を申し立て、原則として給与債権や税金などの一部の負債を除いた債務を免除してもらう制度です。銀行やクレジットカード、消費者金融の借金は免責で0になります。任意整理や個人再生では返済が困難なほど借金の額が高い場合などに検討されます。免責が認められれば、原則として借金の支払いはゼロになるため新しいスタートを切ることができます。教員が自己破産を選択すべきケース
教員の場合は毎月の給与やボーナスが安定しているため「何とか頑張れば返済を続けられるのでは」と考えてしまいがちです。 しかし、収入に対して債務の額が高額であったり、消費者金融・クレジットカード・銀行ローン・奨学金など複数の債権者から借入れを抱えている場合、そして、利息が高い場合は、生活を維持できないことがあります。 特に、次のようなケースでは自己破産を選択肢に入れて検討する価値があります。 ・返済だけで給与の大部分が消えて家賃や生活費が支払えなくなっている ・滞納が続き督促が届いている ・任意整理でも大幅な減額が見込めない ・生活・精神への影響も大きくこれ以上返済を続けられない 自己破産というと「仕事を失う」「家族や職場に知られてしまう」といったイメージが強く、教員としては特に不安が大きいかもしれません。 しかし、教員は資格制限の対象ではなく、原則として自己破産が原因で仕事を失うことはありません。大切なのは、問題を放置して状況を悪化させる前に決断することです。教員が自己破産をしても資格や仕事に影響はない
自己破産をすると「教員として働けなくなるのではないか」「免許は大丈夫?」と不安に感じて、債務整理の相談をためらっている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、自己破産による資格制限の対象は法律で明確に指定してあり、教員はその範囲に含まれていません。ここでは、自己破産と資格制限の関係を整理しながら、教員の資格や職場への影響について分かりやすく説明します。教員は資格制限の対象ではない
自己破産には資格制限があります。これは、自己破産の手続きをした場合に手続き開始から免責許可決定までの間は資格が制限されるというものです。 教員の方が心配する「破産すると教員免許を失うのではないか」「勤務先の学校から懲戒処分を受けて職場を失うのではないか」という点ですが、教員は資格制限の対象に含まれていません。公務員である場合も、教員は原則として資格制限の対象外です。 つまり、自己破産を申し立てても、教員免許が取り消されることはありませんし、自己破産を理由に免職になることもないのです。 個人的な借金問題で懲戒になるというケースはないと言っていいでしょう。裁判所に提出する書類の中に「勤務先」や「職務内容」を記載する欄はありますが、わざわざ裁判所が職場に電話するという可能性はほぼありません。ですので、それによって職を失うわけではないことを理解しておきましょう。自己破産の資格制限がある職業
一方で、自己破産をすると、手続きの開始から免責が認められるまでの「破産手続中」の期間のみ特定の職業や資格には制限がかかります。これは、依頼者のお金を預かったり、他人の財産を管理したりする職業に就く人が、債務超過の状態で業務を行うことを制限するための制度です。もちろん、一生続くわけではなく手続き開始から免責決定までのあいだのみです。そして、教員はこの対象ではありません。 資格制限の一例は、次のようなものです。| 士業 | 資格・職業の例:弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、弁理士 など |
| 保険・金融関係 | 資格・職業の例:生命保険募集人(保険外交員)、証券外務員、貸金業登録者 など |
| その他 | 資格・職業の例:宅地建物取引士、建築士事務所開設者、一般建設業・特別建設業の許可業者、人事官、教育委員会の委員長・委員、後見人・保佐人・補助人、遺言執行者、会社の取締役 など |
職場や保護者に知られるリスク
自己破産をすると「学校や教育委員会に知られてしまわないか」「保護者や同僚に噂が広がらないか」といった点も不安の原因です。 ここでは、官報の掲載や給与に関する書類、共済組合からの借金、給与差押えなど、自己破産が周囲に知られるきっかけとなり得るポイントを整理して解説します。報告する義務はない
まず、自己破産をしたことを勤務先へ報告する義務はありません。自己破産は法律で認められた手続きであり、決して犯罪行為や反社会的な行為ではありません。 また、破産手続は個人の経済的再生のための制度であり、これは極めて個人的なことです。もちろん、弁護士や裁判所、法的整理の関係者以外に、積極的に通知が行われることはなく教員だからといって学校に通知されることもありません。バレる可能性があるポイント
ただし、自己破産を選択した場合に、職場や保護者に知られてしまう可能性はゼロではありません。教員の場合、給与支払いの仕組みや共済組合の制度などから、周囲に気付かれる可能性もあります。ここでは、主な「バレる可能性」のポイントを整理します。官報
自己破産の手続きをして免責が降りると、国が発行する官報に掲載されます。官報は誰でも閲覧できる情報ではありますが、一般の方が日常的にチェックすることはあまり多くありません。ですが、誰でもみてよい情報なので、学校の同僚や保護者が、偶然官報を見て破産を知る可能性はゼロではないのです。ですが、官報を見ている人は限られており、可能性は低いといえます。 ですが、「官報に掲載される」という事実は押さえておく必要があります。必要書類の準備段階
自己破産の手続を行う際には、裁判所へ提出する書類として、源泉徴収票や給与明細、在職証明書など、勤務先に関する書類が必要になります。これらの書類の多くは、自宅に届いている書類や給与明細を自分で保管していれば足りますが、場合によっては学校から証明書を発行してもらうこともあるでしょう。 その際、何の目的で証明書が必要なのかを詳細に説明する義務はないものの、担当職員から内容を質問される可能性はあります。共済組合の借金
共済組合からお金を借りている方もいらっしゃるでしょう。共済組合の借入は、給与からの天引き(天引き返済)という形で弁済を行うのが一般的です。自己破産や個人再生を申し立てると、原則としてこうした共済からの債務も手続きの対象に含めることになります。 自己破産の手続きをすると給与からの天引きが止まるため、その理由について勤務先の担当部署が把握する可能性があります。必ずしも「自己破産をした」とまで知られるとは限りませんが、「共済組合からの返済が止まった」という形で、間接的に知られてしまう可能性もあります。給与の差し押さえ
自己破産の前の段階で借金の滞納が長く続いている場合、債権者が裁判所に給与差押えの申立てを行い、差押されることがあります。給与の差し押さえが行われると、学校や給与担当部署はその事実を認識することになります。教員の自己破産は可能!まずは弁護士に相談を
自己破産は、借金問題を法的に整理して生活を立て直すための合法的な制度です。教員であっても、自己破産やほかの債務整理の手続きを利用することが可能です。ここからは、借金問題を弁護士に相談・依頼することで得られるメリットや、守秘義務によるプライバシー保護について解説します。弁護士には守秘義務があるため知られることはない
教員が自己破産や任意整理、個人再生などの債務整理を検討する際、学校や教育委員会、保護者に相談内容が伝わるのではないかと不安に感じる方もいるでしょう。 しかし、弁護士には、依頼者や相談者の個人情報・相談内容を第三者に漏らしてはならないという法律で定められた守秘義務があります。仮に学校から聞かれても答えることはありません。 そして、弁護士に相談したこと自体も勤務先に知られることはありません。平日は仕事というケースであっても、土日相談や電話・オンライン相談に対応している事務所も多く、仕事を休まずに相談を受けることも可能です。 自己破産の手続きを正式に依頼すれば、受任通知によって債権者からの督促が止まるため、以後のやり取りは弁護士が窓口となります。これにより、勤務時間中に電話がかかってくる、といったリスクを大きく減らすことができます。弁護士に依頼するメリット
自己破産は、裁判所への申立書や多くの書類を準備しなければなりません。個人の財産や収入、支出の内容を詳細に説明する必要があるため、個人で全ての手続きを行おうとすると、時間も労力も大きな負担になります。 弁護士に依頼することで手続きを任せることができます。また、任意整理・個人再生・自己破産のうちどの手続きが適切かを一緒に検討してもらえます。 受任通知で督促や取り立て、支払い請求の電話や郵便は原則としてストップするため、精神的な負担も大きく軽減されます。平日しかできない手続きも代行してもらえるため教員として仕事を休まずに手続きを進めやすい点も大きなメリットです。 教員の場合には、勤務先や共済組合との関係にも配慮が必要ですが、こうした事情も踏まえながら、勤務に支障が出ないよう慎重に対応できます。まとめ
教員が自己破産をしても、原則として教員免許が取り消されたり、職を失ったりすることはありません。自己破産による資格制限がかかる職業は法律で限定されており、教員や多くの公務員は対象外です。ただし、共済組合の借金や給与の差し押さえなど、学校や教育委員会に間接的に知られる可能性があるポイントは存在するため、早めに対応することが重要です。 借金問題を一人で抱え込んでしまうと、生活も心身も追い込まれてしまいます。教員として働きながら生活を立て直すためにも、まずは弁護士や法律事務所に相談し、自身の状況に合った解決策を一緒に検討してもらうことをおすすめします。
セントラルサポート法律事務所
弁護士 安井孟(埼玉弁護士会所属)
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