2025/7/17
個人再生の必要書類は?個人再生の特徴についても解説します
個人再生
個人再生に必要な書類を一覧でわかりやすく解説しています。個人再生の申立てに必要な準備、注意点、弁護士へ相談するメリットも丁寧に紹介します。
個人再生とは、債務整理の方法です。個人再生の手続きをすることで、借金を大幅に減額しつつ、生活を再建することができます。借金の返済が困難になった人にとって、条件はあるものの自宅を残す選択ができるため自己破産とは異なる生活再建を選ぶことができる制度として注目されています。
しかし、個人再生を裁判所に申立てるためには、数多くの書類を正確にそろえる必要があります。また、条件も把握している必要があります。
この記事では、個人再生の特徴や必要書類について詳しく解説し、書類の不備によるトラブルを避けるためのポイントもあわせて紹介します。
つまり、将来利息の免除に加えて、支払総額が減るため総支払い額を抑えることができるのです。ただし、住宅ローン特則を利用した場合の住宅ローンは圧縮されません。
参考:再生手続開始申立書(個人再生)の添付書類一覧表|裁判所
https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/file/1tenpushoruimokuroku.pdf
この書類すべてを揃えて個人再生の手続きをする必要があります。また、住民票などは発行してから3カ月以内というルールがあるため、注意しましょう。

個人再生とは
個人再生とは、債務整理の方法のひとつです。個人再生は自己破産に比べると一般的にあまり知られていないかもしれませんが、債務整理を検討するにあたってとてもよい選択肢となることがあります。債務整理の方法のひとつ
債務整理とは、支払いができなくなってしまった借金を合法的に整理するというものです。 個人再生は、債務整理における合法的な方法のひとつです。 債務整理をするときには、任意整理・自己破産・個人再生の3種類があります。その中でも個人再生は「借金を一部返済しながら生活再建を図る」という選択肢となります。 個人再生は、任意整理のように債権者と直接交渉するのではなく、裁判所の手続きが進められるため、法律の効果で借金を圧縮します。つまり元本が減るのです。そして、住宅ローンが残っている自宅を手放さずに済む可能性がある点が個人再生の大きな特徴のひとつです。この点で、自己破産とも異なるメリットがあります。個人再生の特徴
個人再生には、自己破産や任意整理と異なるメリットがあります。 中でも、免責不可事由がないという点、そして、自宅を残しながら借金を大幅に減額できる点は個人再生の特徴といえるでしょう。免責不可事由がない
債務整理の方法として、よく知られている自己破産は借金をゼロにして生活の再建ができる制度です。大きな負債を抱えて苦しんでいる人にとっては、自己破産の免責は大きなメリットとなり、生活の再建のきっかけにもなります。 ただし、自己破産には免責不可事由があります。 免責不可事由とは、ギャンブルや過度な浪費など一定の理由があると免責(借金をゼロにする判断)が認められないというものです。つまり借金の理由によっては、自己破産ができないケースがあるということです。 一方で、個人再生の場合は借金の理由は問われません。そのため、借金の原因がギャンブルや浪費であっても、返済計画に基づいて返済を進めることが可能です。自宅を残せる可能性がある
個人再生には、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)があります。条件はありますが、この制度を利用することで、自宅を手放さずに済む可能性があります。 これは住宅ローンの支払いを継続しながら、それ以外の借金(クレジットカード、銀行、消費者金融からの借金)を減額して返済していくという方法です。 債務整理をしたいが家族への影響があるため家を手放したくないというケースは少なくありません。生活の基盤である自宅を手放すという選択は家族への影響も大きく、また本人にとっても心理的に大きな負担になります。結果として、自宅を手放すことで生活再建がしづらくなるというケースもあるでしょう。そういった場合に、個人再生の特則が利用できれば影響を最小限にして再生を目指すことができます。安定収入が必要
個人再生は、裁判所に提出した返済計画に沿った支払いが可能であるということが前提になるため「安定収入」が必要です。 もちろん、給与所得者だけでなく、自営業者でも個人再生の手続きはできます。ですが、安定した収入がないという場合は再生計画を認めて貰えないかもしれません。 この再生計画は、個人再生の必要書類の中でも特に重要な書類です。安定収入があり再生計画が受理されることが、個人再生の手続きの大きなポイントといってもいいでしょう。借金の元金を圧縮できる
個人再生では、借金の元金そのものが大幅に減額されます。自己破産のようにゼロにはなりませんが、ルールに基づいて元金を圧縮できます。
個人再生の必要書類
個人再生の手続きでは、多くの書類を用意して提出する必要があります。 提出種類に不備があると手続きの遅延や不認可につながる可能性もあります。ここでは、必要書類を表にまとめて分かりやすくご紹介します。 まずは、必要書類の全貌をここで確認しましょう。個人再生で用意する書類
個人再生の手続きでは、様々な書類が必要です。そして、原本が必要な物、コピーで良い物、期限があるものなど条件がことなるため把握するのが大変です。 以下の表は、個人再生の手続きで必要になる書類をまとめたものです。
自分で用意するもの
必要書類の中には、自分でコピーを用意するものがあります。 主に収入・財産・保険・借入状況などを証明するもので、すべてコピーをそろえる必要があります。預貯金通帳のコピー
過去2カ月以上分の記帳済み通帳コピーを用意します。ネットバンクの場合はPDF明細を印刷して代用可能です。収入を証明するもの
継続した収入があることを示すため、以下のような書類を提出します。個人再生では、財産の状況もが個人再生手続きを進める上で重要な資料となります。 ・給与明細(直近2カ月分) ・確定申告書の控え(自営業の場合、直近2期分) ・賞与証明書 ・課税証明書または非課税証明書(原本) このうち、課税証明(非課税証明書)は市町村で発行した原本を提出します。 財産を証明するもののコピー 収入だけでなく財産に関する資料もすべて提出します。この資料は、個人再生をする人の財産です。家族の財産は原則として対象になりません。 ・有価証券・ゴルフ会員権証券のコピー ・差押(仮差押)の決定正本のコピー ・税金滞納証明書のコピー ・生命保険に加入している場合・・・生命保険証券・生命保険証書のコピー ・生命保険に加入している場合・・・生命保険の解約返戻金計算書のコピー ・自動車・バイクを所有している場合・・・自動車・バイクの車検査証または登録事項証明書のコピー ・不動産を所有している場合・・・住宅ローン契約書・償還表のコピー ・事業をしている場合・・・確定申告書(税金申告書)の控えのコピー 直近2期分各種受給証明書のコピー
他にも、年金などを受給している場合は、受給証明書のコピーも提出する必要があります。公的機関で発行するもの
個人再生では、役所などで取得する公的書類も必要になります。原本提出が求められるため、余裕を持って準備しましょう。住民票の原本
住民票は、市区町村役場で発行できます。住民票で、申立人の住所・家族構成・世帯関係を確認する書類です。 住民票を取得する場合は「世帯全員分」「本籍・続柄の記載あり」の住民票を用意しましょう。なお、マイナンバーの記載は不要です。住民票は、取得後3カ月以内の原本でなければならず、コピーは不可となります。戸籍謄本
戸籍謄本(全部事項証明書)は、申立人の戸籍情報を確認するための基本書類です。原則として、申立ての直前に取得した戸籍謄本の原本が必要です。財産関係で原本が必要なもの
不動産や退職金などの資産がある場合は、個人再生手続において「清算価値」を計算します。 この清算価値は、再生計画でとても重要なものであり裁判所に資料を提出する必要があります。 ・退職金計算書(勤務先) ・不動産登記の全部事項証明書(法務局) ・固定資産評価証明書(市区町村)書類のミスを減らすためにできること
個人再生では、書類はミスなくすべての必要書類を揃えなければなりません。ひとつでもミスがあると不備となり手続きが前に進まなくなってしまいます。チェックリストを作成する
個人再生の書類を用意する際には、まず、チェックリストを作成してどの書類が何部、いつまでに必要なのかをリストアップしましょう。 個人再生の申立書類は量が多く、提出先によって求められる形式が微妙に異なることがあります。 そのため、自分で「チェックリスト」を作成し、ひとつずつ確認しながら準備を進めることが有効です。 チェックリストに記載するべき主な項目の一例です。 ・書類名(例:住民票、戸籍謄本、債権者一覧表など) ・入手先(例:市役所、金融機関、弁護士事務所など) ・原本かコピーかの区別 ・提出期限 ・備考(記載内容の注意点や取得条件) たとえば「通帳コピー:2カ月分/入出金欄がはっきり見える状態/ネットバンクはPDF印刷可」などと細かく書いておけば、チェックしやすくなります。 個人再生の必要書類は多く、そして、すべての書類を揃える必要があるため、手当たり次第に取りかかっていると忘れてしまう可能性が出てきます。まずは、何をどれだけ揃えるのかを把握するところからスタートしましょう。弁護士などの専門家に依頼する
個人再生の必要書類はとても複雑で、手続きが煩雑です。また、個人再生には種類があり、また、利用できる制度については条件があります。 この条件と手続き、そして、必要書類をすべて把握して自分で申請することもできますが、法律の知識と手続きの知識がなければかなりハードルが高くなります。 そのため、個人再生にあたっては弁護士などの専門家に相談して依頼するのが一般的です。法律上は自分で手続きをすることができます。ですが、かなりハードルが高い手続きとなるため行き詰まってしまう可能性もあります。まとめ
個人再生は、借金を大幅に圧縮しつつ、生活再建の道を切り開くための債務整理の方法です。特に、自宅を維持しながら債務整理を行いたい人にとってメリットがあります。 ただし、個人再生の手続きには非常に多くの書類が必要です。そして、書類の記載ミスや添付漏れがあると、申立てが受理されなかったり、再生計画が認可されないおそれもあります。 必要書類を揃えるためには、弁護士などの専門家のサポートを受けることが極めて重要です。法律事務所の無料相談や法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、金銭的に厳しい状態でも法律家のサポートを受けることができます。 個人再生の手続きや書類の準備に不安がある場合は、専門家への相談や依頼を検討しましょう。
セントラルサポート法律事務所
弁護士 安井孟(埼玉弁護士会所属)
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