2026/4/29
任意整理すると車は引き上げられる?押さえておきたい基礎知識を徹底解説
債務整理
さまざまな状況により、債務を返済できなくなることがあります。このような場合は、新しい生活をスタートさせるために債務整理の活用を検討される方も少なくありません。しかし、債務整理すると資産を持ち続けることができないケースも考えられるので慎重な判断が必要です。
特に、その後の生活を考えた時に車を残せるのかどうかは重要な問題になります。今回は、債務整理の1つである「任意整理」をした場合の車の取り扱いや理解しておきたい基礎知識を解説します。本記事を読めば、任意整理した場合に車を残せるのかどうかだけでなく、理解しておくべきポイントや注意点が分かるので債務整理をご検討中の方や、車を残したいと考えている方は、ぜひご一読ください。


任意整理とは
任意整理は、債務整理の1つで弁護士や司法書士が代理人となり、債権者と直接交渉することで利息のカットや返済期間の延長を行い、月々の返済額を減らす債務整理の方法です。交渉はあくまで代理人と債権者の間で行われるため、裁判所を通すことがありません。そのため、周囲に知られにくいだけでなく状況に応じた解決を目指すことができます。 また、弁護士や司法書士などの専門家に依頼した時点で債権者からの催促がストップするので、債務者は生活の再建に集中できるのも大きなメリットです。さらに、整理する債権者を選ぶことができる点も見逃せません。 任意整理は、整理する債権者を選ぶことができるので、保証人付きの借金を対象から除外することができるので保証人に影響を及ぼすリスクを抑えることができます。 ただし、任意整理するとブラックリストに載るため完済してから5年程度はクレジットカードの利用や新規契約、借り入れやローン契約ができなくなります。また、ブラックリストに載ると、賃貸契約の保証会社審査に通りにくくなる点もデメリットの1つです。 さらに、手続き費用として弁護士や司法書士に支払う報酬も必要になるので、その点を考慮しておく必要があります。 中には、弁護士や司法書士に支払う費用を心配されるあまり、相談できないまま過ごす方もいらっしゃいますが、弁護士事務所や法律事務所の中には無料相談を実施しているところも少なくないので、まずは無料相談の活用を検討していください。任意整理における車の取り扱い
任意整理は債権者を選択することができます。そのため、自動車ローン会社を任意整理の対象から外して、これまで通り返済を続けていけば車を手元に残すことが可能です。ただし、ローン会社がカードローンを取り扱っている場合は車を残せない可能性もあるので注意しなければいけません。 ここからは、任意整理における車の取り扱いについて詳しく見ていきましょう。車のローンが終わっているケース
自動車ローンの支払いが終わっていれば、無条件で車を残すことができます。任意整理は自己破産のように財産を処分されることがありません。そのため、車を処分して借金の返済を迫られることはないので安心してください。 ただし、ローンが残っている場合は注意が必要です。なぜなら、自動車ローン会社の債務を整理対象にすると、車が引き上げられてしまう可能性があるからです。そのため、任意整理後の生活を考えたときに車が必要だと判断した場合は、自動車ローンを整理対象から外す必要があります。車が引き上げられる可能性があるケース
任意整理において、自動車ローンを対象から外しても必ず車が手元に残るわけではありません。ここでは、車が引き上げられる可能性があるケースを見ていきましょう。 自動車ローン会社の中には、カードローンサービスも提供しているところが存在します。このような場合、自動車ローンとカードローンの両方を利用している場合は注意しなければいけません。なぜなら、任意整理は会社ごとに行われるからです。そのため、同一会社が両方の債権を持つ場合は、原則的にカードローンだけ任意整理して、自動車ローンは任意整理しないということができません。 同じ会社の自動車ローンとカードローンを利用している状態で、どうしても車を手元に残したい場合は、自動車ローンとカードローンの両方を任意整理の対象から外す必要があります。 状況によっては、選択が難しいケースもあるかもしれません。このような場合は、弁護士や司法書士と充分に話し合ったうえでの選択が重要になることを覚えておきましょう。車の代表的なローンの種類
車のローンと一括りにしても、その種類は複数存在します。ここで重要になるのがローンの種類を理解しておくことです。債務整理には任意整理だけでなく、個人再生や自己破産も存在します。大切なのは状況に応じた整理方法を選択することです。この時、重要になるのがローンの種類を把握しておくことです。 なぜなら、ローンによっては個人再生でも車を残せる可能性があるからです。ここからは、自動車ローンにおける代表的な3種類のローンについて見ていきましょう。銀行のマイカーローン
最初に紹介するローンが「銀行のマイカーローン」です。債権者(貸主)は銀行で、車に対する担保権の設定がされることは基本的にありません。その他のローンと違い、車を担保にすることがなく、債務者の返済能力に基づいて審査が行われます。そのため、基本的に所有者名義はローン契約者本人になるのです。 その一方で、信用情報照会等があるため、ローン申し込み時の審査は3つの中で厳しいとされています。 車のローンが銀行のマイカーローンの場合は個人再生でも車を残せる可能性があることを覚えておきましょう。ディーラーローン
車の販売店が提携している信販会社やカード会社を通じて提供される分割払いサービスがディーラーローンです。大きな特徴は審査が数日で終わるという部分にあります。また、3~5年後に残価を差し引く「残価設定型」を利用すると支払額を抑えられる点も1つの特徴です。その一方で銀行のマイカーローンと比較すると金利が高めに設定されています。 銀行のマイカーローンは担保権の設定がされることは基本的にありませんが、ディーラーローンは所有権留保が設定されます。所有権留保付とは、高額なローンを組む場合に返済を終えるまで対象商品の「所有権」を売主やクレジット会社に残して担保にする契約形態です。そのため、個人再生した場合は基本的に車は引き上げられてしまいます。 なお、ローンを組んでいる人は「使用者」でありローンを払い終えるまでは所有権を持つことは基本的にありません。中古車販売店の自社ローン
続いてのローンが中古車販売店の自社ローンです。中古車販売店の自社ローンは、販売店が独自の基準で審査を行い、分割払いを認めるサービスになります。債権者は中古車販売店となるので、銀行や信販会社、クレジット会社が関係することはありません。3つのローンの中で、唯一信用情報の照会がなく審査が通りやすいのが特徴です。 なお、中古車販売店の自社ローンもディーラーローンと同じく所有権留保が設定されるので、個人再生をした場合は基本的に車を残すことができません。債務整理選択におけるポイント
債務整理には任意整理の他にも、自己破産と個人再生が存在します。 この3つの中で、最も車を残しやすいケースが任意整理です。なぜなら、任意整理は整理する債権を選択できるからです。 その一方で、自己破産と個人再生は状況に応じて残せるケースと残せないケースが存在します。もちろん、車を残せるかどうかだけで債務整理の方法を判断することはできませんが、1つの基準として理解しておくことは大切です。 ここからは、債務整理選択におけるポイントとして自己破産と個人再生における車の取り扱いについて見ていきましょう。自己破産における車の取り扱い
自己破産した場合は、基本的に車は処分の対象になります。ただし、車を手元に残せるケースも存在します。それが、ローンを完済している状態で、車の査定額が20万円以下の場合です。ローンが残っている場合は、基本的に車は引き上げられることになるのですが、通院や介護など、深刻な事情がある場合は自由財産として認めてもらうことで車を残せる場合もあります。個人再生における車の取り扱い
個人再生においても、車を残せるかどうかはローン残の有無が関係します。個人再生では、ローンが残っていなければ基本的に車を残すことができます。なぜなら、個人再生は自己破産と違い財産が処分されることはないからです。 では、ローンが残っている場合はどうなるのでしょう?ローンが残っている場合は、基本的に車を残すことはできません。ただし、契約内容によっては残せるケースもあります。それが、所有権留保がないケースと別除権協定を締結するケースです。それでは、2つのケースを詳しく見ていきましょう。所有権留保がないケース
前章でも解説した通り、所有権留保が設定されていないケースだと車を残せる可能性が高くなります。ここで重要になるのがローンの種類です。前章で紹介したローンの中でも、銀行や信用金庫系で自動車ローンを組んでいる場合は、所有権留保がないケースが多くなります。このような場合は、所有権は購入者になるので個人再生をしても基本的に車を引き上げられることはありません。 所有権留保の有無はローン契約書や車検証に記載されているので気になる場合は確認してください。別除権協定を締結するケース
所有権留保付きでも、仕事上で車が必要だと裁判所に認められれば車を残すことができます。個人再生手続きにおいて、ローン会社と合意(別除権協定の締結)して裁判所に許可されれば、これまで通りローンを返済していく事で車を残すことが可能です。 ただし、前述した通り車を残すことができるのは、仕事上で車が必要になると裁判所に許可された場合に限るので、その点は忘れないでください。日常生活において不便を感じるといった理由では許可されることはありません。車が引き上げられる時期
自動車ローンを対象から外さない場合は、基本的に車は債務整理の通知から約10~20営業日で引き上げられることになります。また、任意整理前でもローンの滞納が続くと引き上げられる可能性が高いので、支払いが難しい場合は車を残すためにも早めの決断が重要です。なお、基本的に車を引き上げる場合は、車の使用者に対して事前に引き上げ期日などの連絡が行われるため、突然車を失うわけではありません。任意整理前に理解しておきたいポイント
任意整理は整理する債権者を選ぶことができます。ここで重要になるのが債権者を選択する時のポイントです。任意整理は、対象から外した債権者に対しては、返済を継続しなければいけません。そのため、債権者選びは非常用に重要になります。ここからは、任意整理前に理解しておきたいポイントを詳しく見ていきましょう。債権に自動車ローンとカードローンの両方が含まれているケース
任意整理は債権者を選ぶことができます。そのため、自動車ローンを対象から外すことで車を残すことが可能です。ただし、対象となる債権者の債権に自動車ローンとカードローンの両方が存在する場合は、どちらかだけを選択することはできません。そのため、自動車ローンとカードローンの両方を利用している場合は、カードローンの金額を考慮したうえでの判断が重要になります。 任意整理は対象を選ぶことができる一方で、対象から外れた債務はこれまで通り支払い続けていかなければいけません。そのため、冷静に判断しなければ任意整理後も経済的な苦しみから解放されずに、最悪の場合は自己破産しなければいけないケースになることもあります。だからこそ、自動車ローンとカードローンの両方が含まれている場合は、カードローンの金額と車を残すメリットを天秤にかけて考えることが重要になるのです。周囲に迷惑をかけない状況を作る方法
場合によっては親族や家族が債務の連帯保証人になっているケースも考えられます。このような債務を整理対象にすると、連帯保証人である親族や家族に迷惑がかかる可能性があるので注意が必要です。周囲に迷惑をかけたくない場合は、連帯保証人が存在する債務に関しては任意整理から外すようにしましょう。 大切なのは、優先すべきことを明確にしたうえで対象を選択することにあります。判断に悩む場合は、早めに専門家に相談したうえで適切なアドバイスを受けるようにしてください。まとめ
整理する債務を選択できる任意整理では、自動車ローンを対象から外すことで車を残すことができます。ただし、自動車ローン会社がカードローンサービスも提供していて、そのカードローンを利用している場合は、どちらかだけを選択することはできません。そのため、自動車ローンとカードローンの両方を利用している場合で車を残したい方は、両方を任意整理の対象から外す必要があります。 ただし、カードローンの金額と車を残すメリットを見極めたうえで判断しなければいけません。なぜなら、車を残すことができても経済的に楽にならなければ任意整理する意味がないからです。 債務整理は、経済的に追い込まれた人が新たな人生をスタートさせるために用意されている制度です。だからこそ、状況に応じた選択が重要になります。後悔しないためにも、少しでも不安がある場合は早めに専門家に相談するようにしてください。
セントラルサポート法律事務所
弁護士 安井孟(埼玉弁護士会所属)
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